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スレッドNo.4271

暇を持て余す   秋乃 夕陽

今度はどんなうたをうたおうか
三時を少し回ったばかりの鴨川のベンチで
川の香りをかすかに嗅ぎながら

風に揺らされたまま
少し汗ばむ額に張り付く前髪かき揚げ
ごぉーごぉーと唸る白い水飛沫をみながら

向こう岸へ目を転じると
誰もが遊べるような拓けたスペースで
ゲートボールに興じる三人の年老いた男性
あちこち行ったり来たりしながら
腰を屈ませ腕を振るう

そのちょうど前辺りの小道では
黒っぽい帽子をかぶって
鼠色のTシャツを着た中年の男性と
緑色のリュックを背負い
前屈みで銀色の自転車を漕ぐ青年が
ちょうどクロスするように擦れ違う

少し離れたベンチには
白い帽子とTシャツを着た丸い体型の男性が
川岸の正面へ体を向けたまま
眠り込んだように顔を下に俯かせて座っている

そこから斜め後ろぐらいの草むらでは
茶髪で長い髪の若い女性が
水色の自転車を停めたそばに座り込んで
なにやら一生懸命
ノートらしき紙に書き込みをしている

誰もお互いを顧みることもなく関心すらない
それでも草の香りを纏わせながら川は流れていく
かすかに揺れる緑と白い花と水飛沫と水面と
ゆっくりとしたペースに合わせながら
行き過ぎる人の影は流れる

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