紙コップ 喜太郎
穴の空いた紙コップ
いくら注いでも
何もたまらない
諦めて捨てるだけ
指で塞ぐことも
考えることも
諦めて
底の抜けた紙コップ
いくらすくっても
何も入らない
諦めて捨てるだけ
手をあてがうことも
考えることさえも
諦めて
君の乾きは癒されずに
幾つ捨ててきたのだろう
考えれば行動すれば
抜けた底を塞いで
すくえたのに
空いた穴は押さえて
ためれたのに
拾い上げるんだ
その捨てた
足元の紙コップを
考えるんだ
どうすれば捨てなくて済むかを
空いた穴が大きいのなら
指より手を
片手を両手に
諦めるな捨てるな
きっとためてゆけるから
少しずつでもいいから
何度も何度でも
すくってすくって
ためてためてゆけ
やがて紙コップは
形を無くしてゆく
だけど大丈夫なんだよ
もう君は
しっかりと両の手で
受け止めることができる
すくい上げることができる
もらさないように
こぼさないように
そして乾いた喉を潤すように
君の心を潤してゆく
力が湧いてくる
勇気も優しさも思いやりも
無くしていた笑顔も
そして力強く一歩を踏み出すんだ
もう捨てるものはないんだから