音楽 帰る 温泉郷
おかえり
音楽が帰ってきた
1人がいなくなり
部屋の整理をしていると
音楽が
出てきた
ただ
意味もなく
実感もなく
沈んでいた
あの時期に
ふと
いつも立ち寄るショップで
イライラ任せに
でたらめに買った
1枚
突然
静謐さ
祈り
永遠
が流れ出てきたとき
自分の中にあるものは
見つけなくていい
探さなくていい
それは
自分の中にあるから
それでいい
と語りかけられ
それから
繰り返し
繰り返し
ただ
聴いていた
この音楽が
再び
この部屋に流れる
1人去ったこの空間に
なぜ
こんなにも永く
この音楽から
離れていたのだろう
いや そうではない
封印したのだった……
どうしても
そうしなければ
ならなくなった
実務の世界に
入ったときに
音符に転換されない
乾いた二次元
その平面で
ただ 結果を求められ
生き延びようと
自分の中にあるものを
封じ込めてきた
でもそれは
ちゃんと
まだ あった
音楽 帰る
おかえり 音楽