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スレッドNo.4323

九時三十分にお客さん来ちゃうからさ  まるまる

発達支援に携わる日々
事業所での療育や
書類のやり取りなら市役所と
受け持ちの子は ひとり増えて17人で
ひと月に一人か たまには二人 
親ごさんに様子を伝える

今日は 九時半にひとり
幼稚園生のお母さんが来る

早く起きたはずなのに
まずい この髪じゃ人に会えない
鏡の前にはどっかり 大あくびの子ども
 ごめん、ちょっとよけて
 九時半にお客さん来ちゃうからさ
言葉は子どもを通り抜け
協力というつもりもないだろうけど
横にずれてくれた
寝癖は直せて
 ありがとう 行ってくるね

私の母も働いていた
ただし 
母が職場で何をしてたのか 
私は知らない
急いだり 慌てているのを  
出かける前に見たこともない
大人とは
子どもにわからない仕事をし
遅れそうには決してならない
謎の なかなかの生き物だった

朝 うちの子はよく
けたたましく急ぐ私の姿を見せられ
九時半から何があるかも 知らされ
忘れたお弁当を 届けてくれたこともある
全部 まる見え

この家でずっと一緒に暮らして
子ども達は 大きくなった
信頼関係は未だ 構築中
それは 
より深く信じ合えるようになれるため
強くなったり弱まったりしながら
親と子の間で繰り返されるもの
他の頼れる人が現れるまでは ずっと

母をお手本にしていた
母にあったのは
想像の偉大さのもたらす頼りがい
気付けば 同じようにできてはいなくて
意図しないまま 
開けっぴろげ さらけ出し
お母さんってどうなっているんだろうって
好奇心をくすぐる要素が
私にはない たぶん
理想とは大違い

とは言っても こっちの方が私には
合ってるんだろうな
他に やりようがないもん
これからも このまま行くしかないだろうな
よろしくね

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