ある夏休みの夜の僕 喜太郎
勉強も手につかなくて
窓を開けて見上げた夜空
どこか遠くで花火の上がる音
もっと勇気があったら
もしかしたらこの夏休みも………
今からだってまだ間に合うのに
雲間に見える星屑たち
右手に握りしめた携帯電話
もう少しだけ もう少しだけ勇気が欲しい
勇気なんかじゃないよな
フラれるのが怖いだけ
来年になれば受験生
やがて来る朝 時は夜のまま止まらない
『少し話があるんだけど明日とか会えるかな?』
もう何十回も消しては書き込んで押せない送信
何してるかな?起きてるかな?迷惑かな?
かな かな かなと心の中の虫が泣く
あっ 流れ星 三回唱えられなかったけれど
少し気持ちに勇気が出て押した送信
やがて既読が付くだろう
やがてLINEの会話が始まり
やがて高鳴る胸で眠れぬ夜
そして明日の朝日が昇る
暑い夏の日差しより熱い思い出の日が始まる