「アイム ヒースクリフ!」 津田古星
土曜の午後、私はひとり
名画座で「嵐が丘」を見ました
ヒロインが
「I'm Heathcliff!」と叫んだ時
その言葉が まっすぐ私の胸に飛んできて
涙をあふれさせました
私は彼なのだ
私のように彼を理解し
私のように彼を愛する人間は
ほかには居ないと今でも言い切れる
彼のための努力は
水がどんな形の器にでも納まるように
私には容易いことだと思う一方で
彼が求めるもののためには
私は私らしさを捨てなければならない
そんな予感がしたから
この道を選んだのに
「アイム ヒースクリフ!」
「アイム ヒースクリフ!」
一人暮らしのアパートに帰るまで
私は心の中で叫び続けました