邪魔だ もりた りの
闇を追い掛けて闇に隠れる
漆黒に逃げ場を求める
黒い繭が意識に巣食う
震えが止まらず胸を暴打する
暗黒に逃亡する
隅を求めて隅に隠れる
いつまでも逃げ続ける
足元が見えず足を滑らせる
強振する繭を抱えてうずくまる
差し込む一条の朝陽
広がる草原に青碧の空
緑草に降り注ぐ強烈な日差し
眩しさに網膜が滅する
幾億の光線が繭を包囲する
光が黒い繭を締め付ける
縛られ膨らみ破裂する
光が粉々の意識を吸引する
引力に抗いつま先に力を込める
芝生を踏みしめる
ゴム底で力が入らない
どうしてわたしにかまうんだ
光よわたしを放っておいてくれ
もういいんだ
もういいんだから
いいんだ
いいんだから
だ
だから
蹴り上げて靴を放り投げる
あああっ、靴なんて邪魔だ
光に身をゆだねる
光に身をささげる
足が滑る
靴下なんて邪魔だ
黄金色に焦点を合わせる
わたしはかける
足にまとわりつく
スカートなんて邪魔だ
風に絡む
髪なんて邪魔だ
袖が擦れる
ブラウスなんて邪魔だ
涎が垂れる
見栄なんて邪魔だ
汗が出る
化粧なんて邪魔だ
喉が乾く
水なんて邪魔だ
息が苦しい
呼吸なんて邪魔だ
腕が上がらない
体なんて邪魔だ
もう止まりたい
意識なんて邪魔だ
体が動かない
わたしなんて邪魔だ
あああああああああああっ
何もかも邪魔だ
わたしはずっとかけたいんだ