蔓りんどうの秋 上田一眞
山の畑でお芋掘りをする頃
朝露に濡れる
赤松林を歩くと
蔓りんどうの花が咲いている
人知れず
藤紫の花を咲かせる蔓りんどう
楚々とした姿に
野花の憂いが漂っている
宿命なのか
花の命が短いのだ
実は小さいが
珠玉の赤
るびいのように反射して
秋の光を散らしている
赤い果実を口に含むと
ほんのり淡い林檎の味
小鳥のように啄んで
こころの秋が深まっていく
茎は蔓状で
地面を這って生きてるから
花がないときは誰も気づかぬ
地味な地味なりんどうだ
虫を呼ぶため花が咲き
花は昇華して結実する
この自然の摂理
味わうほどに感動する