理由 理蝶
僕は誰にとっても透明だ
いずれ僕にとっても
透明になってしまうだろう
信号が青になって
やがて赤に変わるように
それぐらい自然に
僕はすき通ってしまうだろう
街は溌剌に病んでいる
だから眩しい
空は鈍感に澄んでいる
だから眩しい
芯をくわない交わりの中で
花のような一瞬を求めて
街に寄ったり
風と光がありがたくて
もうそれで十分ではないかと教わり
空に寄ったり するけれど
僕は街にも空にも
なじめないから
最後には1人になる
そうしているうちに
雷雲の如きかなしみが
後ろから迫ってくる!
憂鬱のふくらはぎが漲り
今にもこちらへ駆け出そうとしている!
さあ 街と空の間の
鋭角にすべりこんでゆけ
そして
危ないくらいきれいな言葉を探せ
灯台にも業火にも
なり得る言葉を探せ
僕が誰にとっても
透明であるうちに
僕が僕にとっても
透明になる前に
僕は僕を見つけたい
ずっとそれだけなんだ