太陽と雨が残した者 ふわり座
とある暑い夏の朝
雨上がりに窓を開けて外を眺めてみると
そこには大きくてとても綺麗な
虹の姿が僕の目に映った
それはまるで天使たちが戯れる為の
大切な場所のように思えた
目で肌で全身で感じたい
もしも触れることができたなら
その上を歩けるだろうか
太陽の光が時間が経つにつれ
月の光に変わるようにゆっくりと薄れてゆく
残念だけど通り過ぎてゆく時間を
捕まえることはできない
だけど不意に壊された現実を
優しく包み込んでくれる
全てが壊れ行く中で虹もまたゆっくりと
その存在を消してゆく
特別な何かを持つものを求むより
目の前に広がる自然現象を愛でよう
悲しいなら僕が一緒に泣いてあげるよ
でも他人を敬うことしか出来ないなら
今ここで全てを終わらせよう
愛を失ってポカンと空いた穴を
沢山の思い出と涙で埋めると人は一つ強くなる
それも美しさの一つだ
虹はどうしてこんなにも美しいのだろう
七色の中や心の奥深くに
ニューロンとシナプスのようなものがあれば
説明がつくだろうか
それとも思念の塊がそう見せているのか
なんて考えながら真っ直ぐに歩き出し
暫くして振り返ってみると
そこにはもう天使の遊び場は消えて
代わりに草花が風に揺られていた
何だか少しだけ寂しかった
心の中にあった何かが抜け落ちたようだった
僕は小さく握り拳をつくり
明日も力強く一歩を踏み出すことを決意した