マジックアワー 人と庸
青から黄金色へのグラデーションの中で
雲たちは見守っている
今日のつとめを終えて
地の果てへ退(の)いていく太陽を
高いところにあるあの雲からは
まだ太陽が見えているんだろう
顔が白く輝いている
低いところにある黒い雲は
嵐からはぐれてきたんだろうか
表情を見せず ただそこに在る
雲たちは 一心に見つめている
今日という日が終わるのを
厳かな
儀式のように
一番星も見つめている
たったひとりで
まちにはたくさんの星が灯りだしている
星を乗せた電車も走っている
洗濯物を取り入れる手を止めて
わたしも儀式に参加する
夕餉の支度もまだだけど
笑いもせず 怒りもせず 泣きもせず
ただ 今日の道すじを辿ってきた太陽は
笑い 怒り 泣きながら
明日の道すじを探しつづける人たちへ
一日の最後に
ありったけの光を発して
二つと同じ混ざりぐあいのない色彩を
それぞれの空に残して去っていく
それぞれの空
その空は
あなただけのものなんだよ と