ひと夏 麻月更紗
短い恋をした
蝉の寿命よりは長く
夏が終わる前に消えた
暑さがみせた幻影だったのかもしれない
それは恋と呼ぶには
現実的で生々しく
体に絡みついて離れないのに
突然のゲリラ豪雨にさらされて
呆気なく
流れていった
私は立ち尽くす
傘もなく濡れたまま
やがて雨はやみ
雲間から日がさしてきた
けれど濡れた頬にはまだ
雨粒は残ったまま
短い恋をした
蝉の寿命よりは長く
夏が終わる前に消えた
暑さがみせた幻影だったのかもしれない
それは恋と呼ぶには
現実的で生々しく
体に絡みついて離れないのに
突然のゲリラ豪雨にさらされて
呆気なく
流れていった
私は立ち尽くす
傘もなく濡れたまま
やがて雨はやみ
雲間から日がさしてきた
けれど濡れた頬にはまだ
雨粒は残ったまま