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スレッドNo.4540

評ですね。8月30日〜9月2日ご投稿分  雨音

「引き継がれた物」津田古星さん
津田さん、お待たせしました。
まずはこの作品のストーリーがとても美しく温かく心に沁み込んできました。そして、何より、津田さんの口調がさりげない言葉で綴られていますが、とてもこの作品にあった折目正しさで素敵ですね。匙加減のバランスが良いのと、作品の土台にある静けさが全体を調和に導いているようです。一つだけ。最終連の最終行、「もう何も思い残すことはない」という一行ですが、これはきっとすごく大切な一行なのだと思います。ただ、そこまでに夫や妻の具体的な状況(年齢や健康状況など)が見えていないため、少し唐突に感じました。この言葉にもしも理由があるのなら、それをどこかで少し暗示するような言葉を付け加えると、より読んでいる方に届きやすいかもしれません。津田さん、これからも楽しみにしております。

「だるまさんがころんだ」U.さん
U.さん、こんにちは。暑い日が続きますね。
このタイトルはまさにひらがながピッタリあっていますね。ひらがなを使うことで作品の中に時間が投影されていました。その空気感が作品の中にとてもよく現れていて、とても良い作品に仕上がっていると思います。佳作です。
これは直すところは思いつきません。このふわっとしたノスタルジーがセピア色ですが、ほんのりとパステルカラーのように感じて心地よい作品でした。

「フルートの音色」上田一眞さん
上田さん、こんにちは。お待たせしました。
不勉強ながら、この「ハンガリー田園幻想曲」知りませんでしたので、今、聞きながら、読ませていただきました。この曲が黄昏時の湖を歩いていて聞こえてきたら素敵ですね。なんて思っていたら、あら、若い二人に刺激を受けたのですね。となんだか私が実況中継をしているような変な感覚に陥りましたので、落ち着いて、改めて拝見しました。この作品は、最初の滑り出しの静けさから、若い恋人達の出現で空気の色が変わります。セピア一色だったところに月の光が暖色のように流れ込んできたのですが、これが、このハンガリー田園幻想曲の曲調の変化によくあっていて、もしかしたら上田さんはそこまで考えられたかもしれませんね。佳作一歩手前です。一歩の部分ですが、まず一つ目。湖岸のどちらからか、というところですが、湖岸は曲線とも言えますから、どちらからか、よりもシンプルに、どこからか、の方がいいかもしれません。それから、恋人達が出てきたところですね、4連目、ここはもう少しだけ整理してみるといいかもしれません。ふと見ると 肩を寄せ合うふたり、くらいの出だしで、いきなり恋人って書かない方がいいかもしれません。というのもあくまでも第三者なので、最初はあまり断定的でない方が風景の一部としてさりげなく入ってくるように思います。「たまゆらの恋」って素敵な表現ですね。月が届けてくれそうです。

「怒りの弾丸」松本福広さん
松本さん、こんにちは。お待たせしました。
松本さんの作品はいつもどこかに「はっ」とする部分があります。今回の場合は、最終連でした。この部分を読んでそこまで繋がりきれないものが一気につながりました。これは松本さんの作風と言ってもいいのだと思います。個性ですね。大切にしてくださいね。一方で、少し危険も孕んでいます。松本さんの中に明確な世界が広がっていると思いますし、それを描き出すことで読んだ人の解釈に任せることで構わないのですが、読み手がついていけるようにしないとせっかくの最後に手が届きそうで届かなくなってしまいます。今回は少しその傾向がありました。一発で貫く弾丸だからそれもそうかも、なんて思ったりもしますが、ほんの少し歩み寄りがあると良いかもしれません。例えば−273°Cですが、明確な理由があるのだったら、注釈をつけると良いと思います。私は隕石って−273°Cなのかなと調べましたが、そうではないようです。作品の流れが切れてしまうのがとても勿体無いので、一つ一つの連は自立していても弾丸のようにつながっていると良いと思います。

「しぶき」酉果らどんさん
らどんさん、こんにちは。お待たせしました。
「まるで急行は・しぶきのたて髪を生やした・銀色のライオンだった」
この部分がとても良いと思いました。この三行がこの作品をグッと持ち上げていると思います。全体として、作者の想像力の豊かさをとてもよく表しているような作品になっています。らどんさんだけの世界が見え隠れするところがとてもいいですね。出だしの「涙」のでどころだけが不鮮明で私の想像力では追いつけませんでした。雨が涙に見えた、ということでいいのかなとも思ったのだけど、何かもう少しその先がありそうです。その涙が水玉に変わるのですが、涙を思い出させるようなものがチラッと出てくると良いかもしれませんね。最終連ですが、倒置法にすると良いかもしれません、ご一考くださいね。らどんさん、これからも楽しみにしています。

「春」相野零次さん
相野さん、お待たせしました。秋がそおっと近づいてきました。
そんな中「春」の作品です。これは散文なのかな。
そうですね、季節ってちゃんとちゃんとやってきます。誰が悲しくても嬉しくても、季節はそんなのお構いなしです。だからいいんですよね。事実、現実、に人を引き戻してくれる力があります。辛いし苦しい、傷ついた、自分という世界が崩れていく傍らで、何もお構いなしに春がやってくる。花が咲く。猫がなく。僕がいる。ああ、僕がいる。そんな感じに解釈しました。この作品はすごくポテンシャルがあって、私にこれだけのことを伝えてきています。ただ、散文と呼ぶには少し全体のまとまりが悪かったので、形式を変えた方がいいかもしれません。おいしいスープとうさぎのスープがうまく繋がるように、まずしてみてください。

「太陽と雨が残した者」ふわり座さん
ふわり座さん、こんにちは。今日もトリはふわり座さんです。
ふわり座さんとのここでのお付き合いも長くなってきて成長を感じさせていただくことが大変な喜びであることを今日はまずお伝えします。よくなっていますね。
まずタイトル、とても良いですね。太陽と雨が残すものはあれに違いありません。それをあえて「者」としたこともいいな。佳作です。
そしてここに宣言します。ふわり座さん、もう一段これからはハードルを上げさせてもらいますね。それから、ふわり座さんのペースでここまできて、私以外の方の力もお借りしたいので、ぜひ島さんの胸を借りに行ってみてください。背中を押したいと思います。私も寂しいので、たまには見せに来て欲しいです。←わがままですみません。
それを踏まえて、アドバイスします。四連からが少しだけ唐突でした。五連で涙が出てきたので、その辺りが雨と虹につながるのですが、その関連性も少し見えにくかったのが残念です。この二つの連をグッと抑えてみてください。そうすると多分全体の流れがとてもよくなると思います。

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先日たまたま仕事で調べ事をしていたら、英語詩を書くときに「ABC韻」というのが出てきました。面白いなあと思いました。私は元々何も考えないで詩を書くので、こういったことを知るのって結構楽しいですね。

暑い日が続き、一方で空気が乾燥し始めてきました。寒暖差もあって体調を崩しやすい時期です。みなさまどうぞご自愛くださいね。

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