月景
まず瞳を閉じて "心の水面"という言葉を頭に浮かべてみます
やがて言葉がほどけて心象風景になった頃に
その景を吐息のさらに深まる辺りに浮かべて 水面を覗き込んでみると
月景ゆらめき 言の葉は微かに風に鳴り
水面に映る瞳と瞳が重なって 不意にこぼれ落ちたもの
これが私の情緒なのでしょう
心の真から まあるく拡がる水の紋
月はゆらいで水に溶け 私もゆらいで景に解け
気づけば水面は凪いで水鏡
ただ月景のみを映しています
私の瞳は消滅し
水面に映らぬ私の情緒だけがぼんやりと
ここに在るように思われるのです