壊れサンダル 小林大鬼
壊れサンダル引きずって
雨ん中歩いてく
壊れサンダル引きずって
雨ん中歩いてく
八月が終わり九月の日曜日
台風を気にしてずっと家ん中
日が落ちて腹を空かして
傘差して向かったら
サンダルが壊れてしまう
目当ての店は昼には店じまい
他の店々も閉じたまま
薄暗い夜道を
泥濘んだ夜道を
心も足元も雨が染みる
壊れサンダル引きずって
雨ん中帰ってく
壊れサンダル引きずって
雨ん中帰ってく
濡れた足で帰宅して
壊れサンダル投げ捨てる
心破れた一日と
サンダル潰した哀しみと
一人抱えて泣き濡れる窓…