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スレッドNo.4595

彼岸花 荒木章太郎

仕事帰りに
教会に立ち寄り
牧師に懺悔して
悔い改めたら
終電に間に合わず
孤独の夜道を帰ることになった

頭上では仲秋の月が
四角に変形して
サイコロのように回っていた
スロットマシンみたいに
三つの数字を映して
その顔をカタカタと変える
統計とか法則とか宿命とか
血眼になって縋ってきたものとか
カタカタと輝いている
なんて欲望と欺瞞に満ちた
不安定な空か

これまで人の厚意に甘えて
夜を明かしてきたから
いざ憎しみの街で
お前は加害者の側だと
こめかみに罪を突きつけられても
言い訳しか見つからず
夕闇は残念な顔をして
幕引きを告げたものだ
何も差し出せずに
命乞いをしては
街を去る毎日だった
都市はこんなにも砂漠か

信じる事と疑う事の
国境線で彷徨う先に
彼岸花が咲いていた
確かに全てが平等にみえる

もう人に赦しを
乞うことはやめて
神に許しを乞うことにする
そう決めると月は丸に戻っていた

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