MENU
940,813

スレッドNo.4597

沖合  飴山瑛

風がある
雲の切れ間を
すり抜けて

開け放した窓
外ばかり見ているのに
手ひとつも
伸ばさない

昼まで寝ていたから
空がずっと遠い
体の中に
朝が閉じ込められている

埋められた本棚に
過去がある
ひとりになれない
だからずっと
ふるえていた

夢見るために
夜を泳ぐ足
背ははがれてゆき
薄く透けた
魚が飛び立つ
丸い鱗
真珠に似て
ひかる

月の周りには
叫びが根を張って
眼の裏から
蔦を伸ばす

こころはからだを巡る
わたしは
どんどん
ゆるむ

丸い関節が
きりきりと擦れ
小さく粉が舞う
打ち捨てられたマグ
罅が入っている

実感だけを頼りに
飛び去ったわたし
追いかけてみては
浅い眠りが
海のすがたをとる

はなれてゆく
わたしたちを
つなぎとめる
枝にばかりすがりついては
滅びてしまう
いまを
懐にしまい込んでいる

どこかに行きたい
果があるのなら

そこにきっと
真がある

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top