運命のバス
今日はバスに乗り込んだ。
どこへ行くかわからないバスに。
たぶん、もうすぐバスは発車する。
行先はわからない。
僕の知っている人、あるいは僕の知らない、けれど僕と繋がっている誰かが一緒に乗っている。
運命って知ってる? 運命の数だけ出会いがあるってこと、僕はつい最近知ったんだ。僕が望んでいた運命の出会いが、もしかしたらあったのかもしれない。
まだわからない。ただの拍子抜けかもしれない。
それでもいいんだ。
予感があっただけでも収穫。
これから仲良くなれるかはわからないけど、道で出会えばすれ違うだけの関係じゃない人が、確かに僕の傍に生まれたんだ。
うれしい誤算ってやつかな。まだわからないけど。
人はそれを恋と呼ぶのかもしれない。
同性じゃない、異性だからこその感情も確かに生まれている。
いや、そちらのほうが大きなことだ。
僕は確かに、素敵な異性と出会いたかった。
「素敵な異性と出会えた」
わかりやすく言うとそういうこと。あまりに陳腐でわかりやすい。でも、ああ、そういうことね。って、誰もが納得する。
まだ出会っただけだから、どうなるかなんてわからないから、考えるだけ無駄。
でも、素敵な妄想がとめどなく溢れてしまう。
なんて僕は愚かなんだろう。いや、これは普通なことだろうか。
僕にとってのご褒美には違いない。
神様ありがとう。
僕が乗っているバスに、確かにその人は乗ってきた。
まだ顔を合わせて挨拶したぐらいの間柄。
まずは隣同士の席に座りたい。
あなたと一緒にどこかの停留所を降りて、どこかへ行きたいな。