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スレッドNo.4637

評ですね。9月27日〜30日ご投稿分  雨音

りゅうさん、お先に失礼します。

「風に乗る金木犀」上田一眞さん
上田さん、ようやく長い夏が終わり、日本も秋めいてきましたよね。
金木犀の香りってとても濃厚でスマホを覆うような感じというのがとても共感しました。その濃密で静かなものを早朝に感じながら詩情に包まれていく情景でした。佳作一歩手前です。
この詩は上田さんの作品の中では短いものに分類されると思います。ですから、この詩はさりげなく一部の隙もあってはなりません(笑顔で書いています)さあ、私がどこが気になったか、ここで上田さん、考えてみてくださいね。一つ目は直して欲しいなと思う部分です。これは冒頭一行目の「秋色も色濃くなって来ると」です。秋色も色濃くなって、は他の書き方に変えてみてほしいなと感じます。色濃くという言葉に変化をつけるのがいいのかなと思います。いろいろありますよね。重みを増す、深く沈む、たっぷりと濃さを増す、色濃くなるでは少し直球すぎるように思います。特に、色という文字が重なっていたため気になりました。ご一考ください。もうひとつは参考までに。四連目の始まりの「でも」なのですが、物語を紡げないけれどこの香りが好きだ、のつなぎに置かれたのだと思います。ただ、もしかしたらなくてもいいかもしれません。ないほうがリズムがいいような気がしています。これは好みなので、参考までに。上田さん、最終連がとても良かったです。この連がこの短い作品をギュッと引き締めていますね。

「怨念」秋乃夕陽さん
秋乃さん、こんにちは。秋乃さんのペンネームの季節ですね。
こちらの作品は日常の風景の中での出来事に源氏物語の夕顔の君が映し出されてくる、という日常の中に広がる大きな世界を描いたものでその世界観がとても良いと思います。日常の一場面から大きなものが見えることって実際あります。そしてそれってすごく不思議な感覚ですよね。それがよく描かれていると思いました。大作になっていますがよくまとめられていますね。応援の意味を込めて、佳作2歩手前です。この2歩ですが、少し提案というか、やってみてほしいなと思うことを書きます。ひとつ目、この作品は比較的ボリュームがあるのと、登場人物と内容に引き込まれていくため、最後まで来て冒頭の湯船に戻るところで足元をすくわれたように感じました。というのは、冒頭の湯船のことをうっかり忘れてしまっていたんです。それで、最後の湯船が唐突に感じてしまいました。最初に戻って、ああここが始まりだったのだと思い出したのですが、私のようなうっかり者のために、今のあっさりした冒頭から少し重みを持たせて書くと良いかもしれません。湯船に浸かっている情景の描写を少し混ぜる感じです。そこで、最後に出てくる湯気を何気なく描いておくのもありだと思います。最初は何気ない湯気だったのが、最後に深い意味を持つものになる、感じでしょうか。ご一考くださいね。もうひとつ、見知らぬ女性が現れて座っていく過程ですが、もう少しあっさりまとめてみると良いかもしれません。近くに座ったことと年齢が30代前後だということカウンターにいること、がわかればいいのかなと。そして座った後にどっと話し始めることが際立てば良いと思いました。その人は、主人公が会計をすることで話を遮られたから怨念を送ってきたのか、それは主人公が読んでいた源氏物語の幻影を負っていたせいなのか、その辺りにボリュームを持たせるとさらにバランスが良くなりますね。いろいろ書きましたけれど、この作品がとても好きです。良いと思います。そして、時間をかけて推敲してよりよくしていってほしいなと応援しています。

「「箒星」の意味を調べても。」松本福広さん
松本さん、こんにちは。お待たせしました。
こちらの作品のストーリー、とても良いですね。特に三連目にある「星と星のコラージュで綺麗な嘘を作る」という一行に心惹かれました。この一行が最高に良いと思います。この一行への敬意を込めて、佳作一歩手前です。次回から厳しくなります。というわけで2つアドバイスを。ひとつ目、句読点ですが、この作品はない方がいいように思います。「。」の位置に意外と左右されて読んでいる自分に気づいたからです。気持ち的にここで切らずに読みたいなと思う箇所に「。」がついていることがありました。ご一考ください。ふたつ目、秋乃さんのところにも書きましたが、全体的に推敲をもう少ししていただけると良いと思います。これは時間をおいて何度もしてください。いらない言葉、足りない言葉、見つけてください。全体のストーリーがとても素敵なのであまり気になりませんでしたが、松本さんが加えたいものというのが溢れていて、少しわかりにくい点があったことは否めません。ご自身で時間をおいて(ここ大事)読み直してみて、手を入れていく、それによってこの作品はものすごく良いものになると確信していますのでやってみてくださいね。

「登校」ベルさん
ベルさん、こんにちは。お待たせしました。
通勤(かな)途中に車の中から見た風景に心を動かされた優しい作品に私の心も動かされました。とても柔らかな感情の流れが良いと思います。この作品は素敵な要素が詰まっていますので、少しだけアドバイスさせてください。何より一番心に残るのは、三連です。三連目の冒頭の二行が特に素敵。それをバックミラー越しに見守ることも素敵です。それで、この最後の二行を少し工夫してみると良いと感じました。「バックミラーに映る女の子を見て・そう思った」ですが、例えば、バックミラーに映る黄色い傘に・そう願った、とか、女の子を示唆するものに置き換えてみると良いかもしれません。ご一考くださいね。(これは確認ですが、バックミラー越しだったのかな?サイドミラー?どっちかなと思ったのです。これは蛇足ですが、自分自身がサイドミラーの方でよく後方の情景を見るのでちょっと気になりました。これは本当蛇足です。)
こちらも日常のほんの短い時間から広がっていく情景ですね。素敵でした。

「運命のバス」相野零次さん
相野さん、こんにちは。
あらこれは本当に運命のバスですね。タイトルに納得しました。この恋を応援したくなるので、佳作二歩手前です。二つ書きますね。ひとつ目、作品の形式を少し考えてみてください。冒頭一連目の雰囲気で行分けをしていくのが良いのではないかなと思っています。そうした場合、句読点をなくしてみてはどうかな。ふたつ目、「僕」の一人語りなので、「僕」を減らしてみてください。主語を書かなくても通じるところがたくさんあると思います。これを減らすことで読んでいる人に任せることのできる部分ができます。それは間みたいになって良い効果をもたらします。間、ができてくると、とても良くなってくるんじゃないかな。相野さんも次回から少し厳しくなりますので、ご承知おきくださいね。

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終わりに。我が物顔に秋空が見下す英国よりお届けしました。
みなさま、秋を楽しまれてくださいね。

   

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