視覚優位の病床で 荒木章太郎
鱗雲が金目鯛の大群のように
金色の尾鰭をひらめかせながら
誇張された言葉の波が打ち寄せる
秋の夕暮れ
私は双眼鏡を手放さず
情報の波に飲まれて、ただ眺めるだけだ
そう、監視してばかりだ
ああ、観察してばかりだ
批評を繰り返し、
行動することを恐れ、
逃げ道を探している
四角い視覚優位の病床で
主語を失った言葉がベッドに縛られ
民主主義は、静かに眠り続ける
寝たきりの状態へ
問題は明日の雲へと
先送りされてゆく
鱗雲が金目鯛の大群のように
金色の尾鰭をひらめかせながら
誇張された言葉の波が打ち寄せる
秋の夕暮れ
私は双眼鏡を手放さず
情報の波に飲まれて、ただ眺めるだけだ
そう、監視してばかりだ
ああ、観察してばかりだ
批評を繰り返し、
行動することを恐れ、
逃げ道を探している
四角い視覚優位の病床で
主語を失った言葉がベッドに縛られ
民主主義は、静かに眠り続ける
寝たきりの状態へ
問題は明日の雲へと
先送りされてゆく