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スレッドNo.4649

視覚優位の病床で  荒木章太郎

鱗雲が金目鯛の大群のように
金色の尾鰭をひらめかせながら
誇張された言葉の波が打ち寄せる
秋の夕暮れ
私は双眼鏡を手放さず
情報の波に飲まれて、ただ眺めるだけだ

そう、監視してばかりだ
ああ、観察してばかりだ
批評を繰り返し、
行動することを恐れ、
逃げ道を探している

四角い視覚優位の病床で
主語を失った言葉がベッドに縛られ
民主主義は、静かに眠り続ける
寝たきりの状態へ
問題は明日の雲へと
先送りされてゆく

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