野朝顔
野朝顔
大きく開いた野朝顔は青紫色のらっぱだ
つらなって初秋の朝の澄んだ空へ
次々とのぼり
起床ラッパを鳴らす
梅雨どきに植えたひと株が
伸びる伸びる
丈高い樹のてっぺんまで
つるつる伸び
地面を這っては
ふしぶしに根をおろして
今や小さな森になった
植物は動くのだ
高いところへ高いところへ
日の当たるところへもっともっとと
人間の無限の欲望と同じ
今朝は三十数個も咲き
森はまるで青い滝
水音さえ聞こえるよう
そうして
心の弱い人に生きる力をくれる
夕方
花はピンクに変わる
たくましい花の
やさしい色
花の本当の心だ
消灯ラッパが鳴る
きょう一日の無事を
あなたに感謝して
おやすみなさい
*野朝顔・・・琉球朝顔