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スレッドNo.4739

哲学  静間安夫

もし興味があったら
わたしの名前のついた
学問を挙げられるだけ
挙げてみてほしい―

よく耳にする
「法哲学」、「政治哲学」
から始まって
「宗教哲学」、「歴史哲学」
「言語哲学」、「科学哲学」
などなど…

まるで
あらゆる学問分野の数だけ
わたしの兄弟姉妹がいるように
思えないだろうか?

いや、そればかりか
「人生哲学」
「金銭哲学」
「経営哲学」
の類まで加えたら
わたしの親族の多さに驚くだろう

よく考えると
これはずいぶん不思議な話だ

なぜって たとえば
「政治学」と言えば政治を
「歴史学」と言えば歴史を
扱うのが当たり前だけど
わたし、すなわち哲学にとって
扱う対象は何でもよい、
ということだから…

そう―
わたしという学問には
自明な対象がないのだ
何を問うてもよいし
さらには問うということを
問うてもよい

こんな具合だから
ためしに
先ほど挙げた
○○哲学の学者や研究者に
「哲学とは 如何なる学問か?」
と質問してみるとよい

きっと
質問された人の数だけ
答えが出てくるに違いない

それもそのはずだ
「哲学とは何か?」
と問うことすら
すでにして哲学であり
一致した答えの出ない難問なのだ

こんな得体の知れない
シロモノにもかかわらず
今ほど わたしの入門書が書店に
あふれているときはない

想像するに
「哲学」という言葉には
人生やビジネスの指針といった
趣があるからだろう
この先行き不透明な時代であれば
なおさらだ

けれども わたしの中に
何らかの真理や難問に対する答えを
まるごと見つけようと思っても
それは的外れだ

そのわけは
もうおわかりだろう―
わたしの本分は
なによりも
あらゆるものを
仮借ない問いの対象にすることだから

これまで
疑問を投げかけずに
受け入れていたことや
当たり前と思っていたことに
揺さぶりをかけ
それを通じて
ものごとの見方、
世界との関わり方に
新たな可能性をひらくことだから

きっと注意ぶかいあなたなら
ここで気がついたに違いない―
先ほど紹介した親族のほかに
わたしには、さらに
ごく親しい友人がいることに

「詩」という名前の その友人は
やはりわたしと同じように
言葉の力で変えてくれる―
世界を見る あなた自身の見方を
世界にある あなた自身のあり方を

なるほど
わたしも友人も
直接 世界を変えはしない、しかし
わたしたち二人に支えられれば
あなたは
荒れ狂う現実世界の中で
押し流されることも
右往左往することもなく
こころの自由を保てるに違いない
必ず!

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