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スレッドNo.4774

テニスコートの誓い  荒木章太郎

卒業間際の夕暮れに
交わした約束、なんだったっけ

未来の伏線を回収するために
牧師になる者、弁護士になる者、
政治家になる者――
時の流れは、ただ過ぎゆくだけ

契約の概念が
元々なかったから
長い契約書を読み飛ばしていたら
革命の意味がいつの間にか
自分勝手に変わってしまった

人は秩序を求める
混沌を父とする俺は
生まれたときから支配を嫌い
指切りをしながら契約を交わし
国境線を引く自由な人々を見た
約束を結ばない俺は
見境のない砂漠で
区別のない無法者になっていく

孤独が月夜に吠え
闇に怯え、実存を求める
このままでは液体のように
ただ流れてしまう

ずっと咀嚼を続ける山羊は
深みのない虚無を真っ黒な瞳に映し
哀しみも喜びも漂わせて
ただ焼きつけることなく
草食だの肉食だのと
その種で不当な扱いを受け
沈黙を守り、傷ついてきた

「深掘はしないで欲しい」と言われるが
土地を耕し、少し掘らなければ
根菜類は収穫できない
冬に備えるためには
少しは取り組まなくてはならない

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