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スレッドNo.4780

獄中の虚  白猫の夜

月の消えゆくある日の晩に
うすらと引いた赤い線
猫の所為にした自傷の痕に
気が付く者はおりますまい
要らぬ存ぜぬ消えゆけと
狂気のままに放られた刃を
私は正気で受け取った

消えゆきましょう 月の夜に
拾うてくれる 暗闇に
かなぐり捨ててしまって 全て
持ってゆくのは安吾の桜
なんて痛快 晴晴と
明くる夜の向こう側
大きな鎌を傾げた亡者が
私の首に刃を当てる

月の消えゆくある日の朝に
切り落としたのは誰かの首
開きっぱなしの窓の奥から
覗くふたつのまろい金色
次いで聞こゆる悲鳴と怒声
野次とざわめき サイレンと

儚く消えゆく私を笑うは
桜であろうか虚であるか
私は正しくひとりだった
桜はそれを知っていた!


約2年ぶりの投稿となりました。
再び励みたいと思います、どうぞよろしくお願い致します。

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