飢え 喜太郎
愛を二人で食べてた少しずつ
すぐに減らない様に少しずつ
すぐに無くならない様に
二人で愛を足しながら
どんなにお腹が空いても
どんなにたくさん食べたくても
ずっとあなたと食べていたかったから
少しずつ少しずつ食べていたの
でもやっぱり男なのね
食べるの早いし沢山だし
気づいたら私は沢山の愛を足していた
食べる暇もないくらいに足し続けて
あなたは飢えた子供の様に際限なく食べたわ
私の足し続けてきた愛は心だけでは足りなくて
身体も生活も全て捧げて足し続けて
それでもあなたと食べていたかった
それでもあなたに食べていてほしかった
私の愛を 私だけの愛を永遠に食べていてほしかった
其処はまるで回る中華テーブル
あなたは空の皿を回して避けて別の盛られた皿に手を出したの
汚れた空の皿は下げられて まるで私の心のよう
二人で少しずつ食べていたのに
二人で愛を足しながら食べていたのに
私は一人残った部屋の中 汚れた皿を洗い流す
また美しく料理を盛り付ける日まで
小傷だらけのガラスの皿は食器棚へと片付けられる
また食べられるように
またすぐに減らない様に
私は愛を心の中で育てていくの
男はみんな飢えてるから