雨の味 白猫の夜
ひゅぅらり ひらり 湖面にて
ひとりの少女が踊る 踊る
真白のスカート翻し
片手に揺らすはワイングラス
中身ははてさて毒かしら?
いえ いえ ただの甘味です
でも でも 誰も信じない
毒だと信じて疑わない
クラスメイトも友達も
実の親でさえ信じない
ほんとがうそに成るのなら
嘘をつくほかないでしょう
なので本当にすることに
中身はすり替えておきました
からぁん かぁらり
堕ちるは涙?
季節外れの雨かしら?
少女の煽るワイングラスの
中身は猛毒 ああいたわしや
湖面に頽れる白い布の
なんと優しすぎること
駆けつける者はひとりとおらず
しっとり湖中に沈み行く
いずれこの水は毒となれ果て
多くの者をば地獄へと
それでもそれは自業自得
たったひとりの少女をあやめた
我々の罪でございましょう
ためしに一口 ひとすくい
ひゅらりと逝った彼女の遺した
苦い 苦い 雨の味
約2年ぶりの投稿となりました。
再び励みたいと思います、どうぞよろしくお願い致します。