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スレッドNo.4818

酒と後悔と男とワンカップ 喜太郎

泥と埃にまみれてる
安全靴と作業着に
マフラー代わりのタオルを巻いて
コンビニの前 座り込む
言い訳混じりの「とりあえず」
ワンカップの蓋 開けたなら
少し震える軍手で包み
その手が何だか笑えるよ
半分ほどを一気に呑めば
疲れた身体が情けなく
深く深いため息を
吐き出す息は酒の歌
徐に空を見上げれば
まだ夕刻なのに星の空
今度は何かを諦めて
心の奥からため息を
片膝に手を当てがえば
よっこらせっと立ち上がり
残った酒を一気に呑んで
鼻息 荒く酒の歌
片手に持ったコンビニ袋
今夜の飯とワンカップ
少しばかり温もる身体
誰も待たない部屋へと向かう
ただ生きていると言う勿れ
ただ生きていると言う勿れ
呪文のように唱えて歩き出す
ワンカップと飯を買う為に
身体に鞭打ち働いて
赤みを帯びた頬緩む
もう少ししたら賑やかな月
もう何十年も昔の記憶
セピア色の写真で浮かぶ
妻や子供とサンタクロース
たった一度の過ちが
たった一度の浮かれた馬鹿が
許されない裏切り馬鹿野郎
頭をよぎる後悔の念
男はただただ振り払うよう
頭を左右に何度も振って
やがて道の隅を歩きだす
街頭に照らされコマ送りのよう
映し出される後ろ姿は
今日も生きた男の背中
過去の過ちを背負う背中
償いさえ無い男の背中

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