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スレッドNo.4825

オーブン  飴山瑛

クッキーを焼く朝
バターまみれの手
いつまでも来ない夜

チェリーを埋め込む
ひかる
目が乾く
火が
燃えている

いつまでも起きているから
どこまでも朝
佇んでいると
指の先から
そっと
透き通ってゆく
理由がないから

もう暫く
夢は見ていない
眠ると
真っ暗が
やってくる

黒い根は
背中を突き破り
そっと夜に
花を咲かせる
降り積もる花びらを
そっと口に運ぶと
現はわたしを離れ
しゃぼん玉は破れる

うちがわが
こぼれてゆくと
わたしは
世界になってしまう

ひとりをやめたから
さみしくない
でも
何も抱きしめられない

夜は朝と重なり
時がなくなってゆく

ちん、とオーブンが鳴る
うっすらと焦げた生地が
まだやわらかい

薄暗い部屋
電灯をつける

窓に
朝焼けがある

まだ眠らない夜を
傍らにして

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