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スレッドNo.4827

新生  温泉郷

四方の壁に囚われた
暗闇の中で

私はまず希望をまさぐった
希望は壁の外にあるはずだった
声は聞こえてこなかった

私は壁を穿とうとした
道具は歯と爪しかなかった
いや もう一つ
頭蓋があった
だが
血の匂いを
嗅いだだけだった

慣れてきた目で
私は壁の模様を凝視した
凝視しても壁は動かなかった
でも私は
凝視を止めなかった

やがて
私は自責を友とした
私は自責の陶酔を楽しんだ

やがて
私は絶望を友とした
私は絶望の静寂を受け入れた

やがて
壁の模様がゆらめき始めた
壁の模様に色彩が現れた
色彩は空間を伴い始めた
空間の奥には誰かがいた
私はその誰かを凝視した

それは
自分だった
私は自分を友とした

誰かが壁の外で
何かを叫んでいるような気がした
その声は次第に
大きく聞こえてくるようだった

壁の色彩は懐かしい音楽を伴い
損なわれた私の身体に
肉をつけてくれるようだった

壁が突然壊れる音がした
風が聞こえ 声が響いた
その声は「サイシンカイシケッテイ」と聞こえた

私の眼は すでに視力を失い
光をおぼろに感じただけだった

何か 固いものが舞い降りてきた

壊れた壁は
私の壁ではなかった

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