2024年11月12日から11月14日までにいただいたご投稿分の感想と評です。
2024年11月12日から11月14日までにいただいたご投稿分の感想と評です
「流星」 埼玉のさっちゃんさん
埼玉のさっちゃんさん、前回は二月でしたね。ご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「流星」の評を送らせていただきます。
ベランダに二人、流星を見る。
かけがえのない時間。だからこそゆっくり味わいたい。
心の中で相手に語りかける流れから、主人公がこのひとときを
どれだけ大切に思っているか、幸せを感じているか伝わります。
<この倖せな時間が続いて欲しい
という願いは切実に響きます。
一点だけ。前半の<寂しい思いをしているのは
私だけだと思っていた
から、彼もまた寂しい思いをしたのかどうか
彼の一瞬の表情の描写や言葉などがあると「二人」の時間を
より深く感じられたかもしれません。
久々にロマンティックな気持ちになりました。
ありがとうございます。
またのご投稿をお待ちしています。
「飢え」 喜太郎さん
喜太郎さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「飢え」の評を送らせていただきます。
<愛を二人で食べてた少しずつ
ここでぐっと惹きつけられました。喜太郎さんは読み手を作品の世界に
惹きこむ力が強い方だと思います。素晴らしい才能であり、個性をお持ちの方だと。
<二人で愛を足しながら
どんなにお腹が空いても
どんなにたくさん食べたくても
ずっとあなたと食べたかったから
少しずつ少しずつ食べていたの
主人公の健気さ、いじらしさが伝わります。
過去形であることから二人の間に不穏な何かが
あったのかと嫌な予感が…。
読み進めていくと予感的中。
「あなた」は別の盛られた皿に手を出してしまいます。
修羅場にはならず、主人公は次へ進むためなのか
小傷だらけのガラスの皿を片付けます。
これを強さと見るか、諦めとみるか読み手によって
捉え方が違う場面のような気がします。
と、すっかり主人公に感情移入して「あなた」に対して
穏やかではない気持ちになりました。
御作佳作とさせていただきます。
Marmot 佐々木礫さん
佐々木礫さん、初めまして!
ご投稿くださりありがとうございます。
初めての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
では、僭越ながら御作「Marmot」の感想を送らせていただきます。
モルモットに夢中な主人公。
モルモットの可愛らしさに夢中で毎日毎日見ている、抱きしめてみたいと
思う気持ちはまさに恋。
弾んだ言葉は熱烈なラブレターのようです。
モルモットなどの小動物の打算のない可愛らしさ、無邪気さは
人間の心をぐっと掴む強さがあるのかもしれません。
最後にモルモットとフランス語、ドイツ語で表すところは
情熱的な恋の叫びのようでした。熱を感じました。
またのご投稿をお待ちしています。
「母、ハルピンへとゆく」 秋乃 夕陽さん
秋乃夕陽さん、今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「母、ハルピンへとゆく」の評を送らせていただきます。
主人公の「母」はどのような歌を歌うのだろう。童謡などの合唱曲か
ジャンルを超えたものか。どんな歌声なのだろう。ソプラノの声を
想像します。きっと美しく深く心に響く歌声だろうと。
新入りの状況でも負けずに欠かさずレッスンへ行った、というところに
歌うことがただの趣味ではない、「母」の中ではとても大切なこと
欠かせないことなのだと推察できます。
なんのために?誰のために?など考えていくうちにひとつの物語ができそうな
予感がしました。
「母」が歌うことに懸命になった経緯やハルピンへ行くことになった流れなど
わかる部分があるとさらに楽しめる作品になったのではと思いました。
魅力的な作品なので深く読みたくなるのです。
またのご投稿をお待ちしています。
「悪送球」 温泉郷
温泉郷さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「悪送球」の評を送らせていただきます。
野球の細かいルールがわからない私でもぐっと惹きこまれる作品でした。
事の起こりから小池さんの人柄や状況、それを踏まえたそれぞれの思い。
詰めが甘かった、を必死で飲みこみ消化しようとする小池さん。
彼の言葉からメンバーの後悔と正直な思いが吐露されます。
ここまでの展開が見事だと思いました。
熱くなりすぎず、諦めすぎずの絶妙な感情が流れています。
沈鬱な空気を和らげるような最後の連。余韻は長く残りました。
御作佳作とさせていただきます。
「揚げた衣の向こう側」 荒木章太郎さん
荒木章太郎さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「揚げた衣の向こう側」の評を送らせていただきます。
タイトルから何の衣だろうと想像がめぐりました。
<恥ずかしさというブランド
値引きされたプライド
厳しい言葉が並びます。主人公はこの「衣」を脱ぎたいと思っているようです。
二連目では誰かにお前は「てんぷらだ」と言われます。
酷い言われ方ですが、主人公は
<他人を衣で判断するその声も
所詮また一つの衣
と、分析しながら受け入れます。
三連目では本当の天ぷらを食べます。
<身に付けた衣を脱いで
「旨い」
と正直な感想をもらします。
主人公は自分がどんな人間になりたいのか明確な希望を持ちます。
素直になれた心と芽生えた謙虚さによって、主人公の今後が明るいものに
なりそうな予感がしました。
御作佳作とさせていただきます。