サーチライトを躱して 荒木章太郎
そうか、果てしない広告塔は
嫌だ嫌だと拒否すればするほど
「関心あり」と認識するらしい
ならば、無関心が得策なのか
これでは、
いじめられないために
悪意を避けようと
一文字に口を閉ざした
あの小学生の俺と同じではないか
真っ赤な悪意を抱え込んだ
夕陽を拒むように口を閉ざし
地平線を眺めていた
一文字に口を閉ざした
あの思春期の俺ではないか
広がるのは途方もない無関心の砂漠だ
成人の俺になって
無関心ばかりではいられなくなるが
それにしても、「嫌よ嫌よも好きのうち」とは
なんて暴力的な思い込みだろう
(サーチライトを躱す)
スマホに夢中になっている場合ではない
電子音の讃美歌が嫌で
プロトコールという監獄から
脱走を試みている最中だ