「あいさつを しない おじさん」
あいさつをしないおじさんが公園のラジオ体操にくるようになった
わたしより年上のはずだが
歳より若くみえる
ふとっているせいだろうか
このおじさんには30年まえに出会った
近所のひとだ
当時からこのおじさんはあいさつをしなかった
こちらからあいさつをしてもただうえむいて無視してた
だからこの人はこんな人なんだと内心嫌っていた
さいきん公園のラジオ体操にくるようになった
あいかわらずだれにもあいさつはしない
いつもひとりでいる
さみしくはなさそうだ
はじめのうちはあのおじさんだとおもってひややかにみてた
だけどまいにちみてるうちにだんだん
かわいくおもうようになってきた
おじさんもとしをとったし
わたしもとしをとった
おたがいにもうおじいさんだ
ひょうめんじょうはおなじかんけいだが
わたしはまるくなったのだろうか
このおじさんもこれでサラリーマンをながく
つとめてきたのだろうとおもうと
なんだかにくめなくてこのおじさんのじんせいを
あたたかくみつめてるじぶんにおどろいた
なんにもしらないおじさんだ
ただのにくたらしいふとったおじさんだ
だけど
おじさんがんばろうな
おたがいに!