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スレッドNo.4883

空転するパレード 佐々木礫

静かなオフィス街を抜け
住宅街を歩く二十二時

今夜の街灯の射影は
電柱の裏側より注ぐ
青い達磨の熱視線
いつか鞄に付けて歩いた
女に貰ったキーホルダー
今はただ寒々とした恐怖
近頃の僕は
まるで踊りを忘れたダンサー

一人暮らしの玄関ドア
開ければ鳴り出すクラッカー
今日もどこかで祝い事
例えば砂漠の処刑場
例えば赤子の眠る街
喜ばしい終わりの予感

広すぎる十畳のリビング
その端の窓際に置かれた
場違いな安楽椅子に座る
網戸の奥から冷気が差す

そこは寂寥の玉座の間
大きな目をした王子様
退屈しのぎに座るのは
バルコニーの電気椅子
視線の先には祝祭の街
空転するパレード
象は空気階段を上る
街の広場の時計台
正体不明の華麗なピエロ
秒針にベルトを巻き付けて
酷く笑顔な首吊りピエロ
その後も決して目を覚まさず

編集・削除(編集済: 2024年12月09日 00:40)

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