星の焦がれ 白猫の夜
屋根に登って
空を見上げると
ぱちり ぱちり
瞬きながら
こちらをじっと
みおろして
キンと冷えた空気の
肺に刺さる心地良さ
吐く息の白さに
また ひとつ
きてはだめ
きてはだめ
もうすこしだけ
まっていて
見上げるだけしか許してくれない
手を伸ばせども届かない
決して引き上げてくれやしない
なんて眩いひかりだろうか
まっていて
まっていて
むかえにいくまで
そこにいて
焦がれるような光を魅せて
連れて行ってはくれぬと言うか
これを憧れというのだろうな
夜の衣装を纏えども
星々には近づけない
憧れのままに
また遠い遠い朝が来る
東が明らんで
焦がれた星々が
手を振って
そこにいて
そこにいて
けしてみずから
きてはだめ
屋根から降りて
地面に俯くと ぽつり
ふたつ みっつ
野花にかかる 雨 ぽつり