水ぶくれ 飴山瑛
白い夜
眠っていたから
固まった目脂が
はがれる
目覚めるのが
こわいから
この部屋は
ぬるいまま
葉の落ちた
枝の隙間から
こぼれるひかり
影の形に焼かれた肌
冷たいままに
愛がなにかを
救えるなら
迷わずに
いられたけれど
赤から紫
そして白へと
山際のそば
心臓だけが
たしかなものだから
いつまでも
立ちつくしている
枯葉を踏む
割れて
粉になる
輪郭は
真実だから
いつまでも
ひとり
私のかたちに
雪がよけていく
地面は
いつまでもかたい
膨れた霜柱を
徒に砕いては
指先が少し痛むのに
よろこぶ
そこにいるだけで
いつからかさみしい
あなたはそこにいるのに
いつまでも
ただ
触れたところだけ
あつい