2025年1月7日から9日までのご投稿分の感想と評です。 夏生
2025年1月7日から1月9日までのご投稿分の感想と評です。
お待たせしました。
MYDEARの皆様、今年も何卒よろしくお願い申し上げます
「ネズミと男たち」 相野零次さん
相野零次さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「ネズミと男たち」の評を送らせていただきます。
長めの作品ですが、すっと読めました。すっと読めるのですが
すっとわからない。ネズミの放逐と捕獲をくりかえす男たちの
目的がわからない。このわからなさが、不気味さがこの作品の魅力に
なっていて。こちらは何度も読んでは「なぜ?」をくりかえす。
作品も読み手も無限ループにはまったような感じがします。
ネズミを捕獲し終えた達成感が薄汚れた倉庫に充満していて
息苦しさと解放感が交互にやってきます。
目的がわからなくても、意味がわからなくても行動だけで
惹きつけられる。闇バイトのような危険な臭いも感じるけれど
妙な清々しさも残る。不思議な一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。
「新年を聴く」 温泉郷さん
温泉郷さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「新年を聴く」の評を送らせていただきます。
音を聴くのは人ではなく「聴く」という名前の「青銅の少女」です。
次に展開される様々な音。読み手は想像と記憶を巡らせ少女と
同様に聴きます。
人の営み、過ぎていく日常。普段なら気にも留めない「音」に
意識を向けてみる。
<今を聴き
昔を聴き
遠くを聴く
目を閉じている少女の心の眼差しを感じるような描写が良いですね。
忙しない心が鎮まって新年の「音」だけが響きます。
清らかな新年を迎えらたような心地になりました。
御作佳作とさせていただきます。