神様になるための修行 上原有栖
僕は神様になるための修行をしている
それはとても厳しく辛い修行だ
僕の師匠は怖い
怒らなくても怖いし 怒るともっと怖い
怒鳴り声はまるで本物の雷が落ちるようだ
それでも神様になるためには
我慢と血の滲むような努力が必要だ
雨の日も風の日も修行をした
誕生日が来ても風邪をひいても修行をした
何年も何年も修行をした
友人や周りの人間はみんな僕を哀れんだ
お前にそんな力はない、と
師匠のことを悪魔だ守銭奴だと貶す者もいた
それでも僕は神様になりたい
君を救う神様になりたいんだ
白い部屋に君は今日も横になっている
閉じられた眼を僕は見つめて
規則的な電子音がリズムを刻む
あの日、君の手を掴めなかった僕が
今度は神様になって君を救ってみせるから
だからあと少し待っていて
もうすぐ僕は神様になるよ