評ですね。1月17日〜20日ご投稿分 雨音
「じいじ」じじいじじいさん
じじいじじいさん、お待たせしました。
身近な人を見送ることはとっても辛いことですよね。小さなお子さんの場合は、もう二度と会えない、ということを理解するのがとても難しいそうです。この「わたし」はじいじのことが大好きだった、ということがとても伝わってきます。この作品はとても難しいテーマを扱っているので、じじいじじいさんがご自身の体験や身近なお子さんたちとお話ししたりして書かれたのかなと思います。最後にありがとうで結ばれているところが良かったと思います。
質問になってしまうのですが(そして何度か伺っている気がするのですが)この作品は対象年齢は何歳くらいを設定していますか?全てひらがななので、小学生以下かなと思います。大人向けの作品をひらがなで書く時とは大きく異なっているため、設定がとても大切だと思います。例えば、絵本や童話を書くときには、対象年齢に合わせて(発達に合わせて)内容も変わっていきますし、使って良い漢字や語彙も変わってきます。じじいじじいさんのひらがな作品はお子さんを対象にしているとおっしゃっていたので、この設定次第で少し読み方も変わってきます。今回の作品は内容から対象年齢は少し判断がつきにくかったように思います。実は対象年齢は小学校低学年だった、けれど、ショックな出来事だったから、全てひらがなで統一した、などという背景があるようだったらそれでも良いかもしれませんね。その場合は、そのショックさがもう少し伝わるように起伏を持たせて書くと良いかもしれませんね。じじいじじいさんが挑戦されていることは本当に難しいことなので、その勇気に頭が下がります。
「蛙先生」上田一眞さん
上田さん、お待たせしました。
すごいストーリーでしたね。息を止めて最後まで読んでしまいました。そういう意味でも佳作です。一度も止まることなく、一度も引っかからずに読ませていただきました。上田さんはストーリーテラーだなと改めて思いました。事実(だと信じて読んでいますが)だとしてもフィクションだとしても、光景が浮かびはっきりとした筋が見えるというのはとても良いですね。私はクロロフォルムで眠った蛙食べて平気なのかななんて心配しました。これを読んで思い出したのは、「豚がいた教室」という映画です。
カラスの登場はとても良かったですね。ここで少し話を逸らすというのもひと技かもしれないななんてちょっと思ったりもしています。すごく良いことですし当たり前のことですが、上田さんの作品は全て主題にベクトルが向いています。そのベクトルがとてもまっすぐではっきりしています。なので、例えば、カラスは鋭い声を上げるだけで、後は読者に任せてしまう、というのもいいかもしれないですね。そういった余白の部分があったら、その声の意味について読む人は想像を広げる余地が生まれます。この辺りは好みなので、おまけくらいに読んでください。とてもよくまとまっていましたし、カエルの解剖が授業になくて良かったなとつくづく思っています。余談ですが、豪快な先生で、そして、私は好きな先生のタイプです。
「紙コップ 通信途絶」佐々木礫さん
佐々木さん、お待たせしました。
紙コップ通信途絶、というタイトルをみて、これは糸電話のお話かななんて勝手に想像しましたが、公園での糸電話とは思いませんでした。そしてすごく良い設定ですね。とても感銘を受けました。佳作です。
公園のごく当たり前な描写から入っている点がまずとても良かったです。そして、次に「三番目に好き」がこの作品をかなり押し上げていると思いました。私はここでクスッと笑いましたし、その後の「僕はその声の意味を探した」という一行も非常に効いています。その後、さらに意表をつかれていと電話は切れてしまい、公園からどこかにトリップしたようです。ここまでの設定から、最終連ですが、最初わからなかったんです。どうしてメーデーなのかしらと。それで調べてみたら、緊急信号の意味があるのですね。もし私の理解であっていたら、3回繰り返すのが良いかもしれません。それだと読み違いなしだと確認できます。その意味を知って、この作品の最終連にもとても感心しました。
良い作品になっていると思いますし、詩の中で楽しく遊ばせていただいたような気持ちになりました。
:::終わりに
寒さがつのる時期ですね。
今年はみなさんどんなことをしたいなと思われていますか?
1月を終えて、私はまずまずの滑り出しでした。
今日は立春。一年の中でもとても好きな日です。