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スレッドNo.5108

共依存  白猫の夜

俯いて歩く帰り道
あおたんまみれの左脛に
じくじく腫れた左腕
右のお腹に貼られた湿布の
ひんやりとした冷徹さ
歩けど歩けど進みもしない
地獄のような帰り道

前を横切ったクロアゲハ
道路に飛び出たと思ったら
速度違反の車が遮り
呆気ないまま散り散りに
思わず足を止めるも既に
風に揺れる四枚の羽
車は知らぬ存ぜぬと
過ぎ去って行った後でした

薄い雲のたなびく空を
目を細めながら見上げてみたら
そこに映るはクロアゲハ
瞳の奥から離れてくれない
かげおくりみたいにくっきりと

視線を戻して瞬くと
黒い燕尾の男の子が
病的なまでに白く細こい手を差し出して
それは美しく微笑ってる
思わず一歩踏み出した時

耳奥につんざくクラクション
なまぬるい風の勢いに押され
ぐらりと僕は倒れこむ
視線の先で顔を歪める
黒い燕尾の男の子
真っ白な手は既に仕舞われ
陽炎のように揺らめいて……

残っていたのはクロアゲハ
ピクリとも動かない彼を僕は
そっとひろいにいきました

残念。
ほんのあと少しだったのに

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