根絶 温泉郷
丸い目
黒く大きな瞳
豊かな尻尾
南アジアに広がる
哺乳類
ハブ対策のために
奄美大島に
30匹が放たれた
その30匹が
どのように森の中に入って行ったのか
未知の森に不安を感じなかったのか
それは分からない
フイリマングースは昼行性
ハブは夜行性
ハブを捕食する代わりに
天然記念物の
アマミノクロウサギや
トゲネズミを食べた
簡単につかまえられる動物が
目の前にいる
だから そっちをたくさん食べた
黒い瞳はますます丸く輝き
1万匹に増えた
「特定外来生物」
豊かな灰色の毛皮に
害獣の烙印
何十年も前に
ヒトのために連れてこられた
「特定」?「外来」?
尻尾が疑問符の形になったのか
それは分からない
ヒトは罠やイヌを使い
駆除を進め 追い詰め
「マングース根絶宣言」
人類史上の輝かしい成果!
仲間が 家族が 友達が
消えていくことに
何を想ったのか
それは分からない
彼らが「宣言」を聞くことはない
風に乗ってさまよう彼らの「宣言」を
わたしたちも聞くことはない