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スレッドNo.5175

電車での あの出来事  まるまる

乗り合わせた電車
やった 席一つ空いている
座ろうとして 目をやった通路の真ん中辺に
置いて行かれた誰かの 
嘔吐の跡 
少し 寂しそうに 

そういう訳か
ほんの少しためらったけど 腰を下ろした
数人のコソコソ声が耳に届く
 匂うね
 赤ちゃん乗ってたのかね

ふと 左から女の子二人 20代くらいか
膝を曲げ
レジ袋とポケットティシュで
嘔吐物をふき取り始めた
コソコソ声はぴたりとやんだ

しばらく1ミリも動かなかった私は
近づいて 3枚4枚
自分のティシュを差し出した
女の子は顔を上げ
 助かります
 ティシュ少ししかなくって
次の駅に着くころには
あらかた片付けを済ませてくれた

ひとりの年配の女性が
 えらいね
と 女の子の肩に手をやり
電車を降りた

その人は賞賛を伝えることで 
おさまりをつけたのだろう
この出来事に居合わせた ご自分に

私はと言えば 
自分のゴールがどこかわからず 
もう 接点のない人になっていた

私にとってこの事は 
日常 ではなかった 

でも私は
ほんの少し関りを持った 自分から
次の日からまた いつも通りの暮らしの中
何度も思い出す 電車でのその出来事
忘れてはならない何かを 
置いてきてしまったように思えて

追いかけて 聞けばよかった
 どうして きれいにしてくださったんですか?
 お二人のせいじゃないのに
そうしたら
帰着できたのかもしれない
尊く 得がたい体験として

どこかでまた 会えないかな
あの時の あのお二人に

編集・削除(編集済: 2025年02月17日 22:55)

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