灰色の街 こすもす
ある街に来た
街の通りには様々な店があり
多くの人たちが行き交っている
通りを歩いていてあることに気づいた
歩く人たちの顔に笑みがないことに
みな無表情のまま
何かに追われるように歩いている
通りには誰のものかわからない
夢や希望がこぼれ落ちていた
それらを踏まないようにして
わたしは通りを歩き続けた
通りの端で
コンクリートの隙間に生えている
タンポポを見つけた
緑の葉と黄色い花が
やけに鮮やかに見える
風が吹き
灰色の街から
綿毛が飛んでゆく
目の前を通り過ぎた綿毛たちは
街の人たちに何かを語りかけて
青い空へ消えていった
綿毛たちがいなくなった空を
わたしはいつまでも見ていた