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スレッドNo.5211

夜の山道  こすもす

真夜中に山道をひとり歩いていた
その道はとても細く
深い森に覆われている
雨に濡れた枯葉が
靴にまとわりつく
冷たい風が頬を刺す
森からは
夜行性の動物の
不気味な鳴き声が
聞こえてくる

何度も引き返そうと考えたが
振り返っても
辺りは何も見えない
気を取り直し
目の前にある
暗闇の道を進む
どのくらい歩いただろうか
登っているのか
下っているのか
わからなくなっていた

はるか遠くに
街の灯りが見える
その瞬間ただ走った
街の灯りが近づくにつれ
寂しさや不安が
道の後ろに落ちてゆく
辺りの空気が
暖かくなってゆく
街に辿り着くと人影が見えた
その人に声をかけようとしたとき
目が覚めた
窓から朝の光がさしこんでいた

わたしがひとり歩いた山道は
昨日の昼に車で通った道だった

編集・削除(編集済: 2025年02月26日 22:00)

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