夜の山道 こすもす
真夜中に山道をひとり歩いていた
その道はとても細く
深い森に覆われている
雨に濡れた枯葉が
靴にまとわりつく
冷たい風が頬を刺す
森からは
夜行性の動物の
不気味な鳴き声が
聞こえてくる
何度も引き返そうと考えたが
振り返っても
辺りは何も見えない
気を取り直し
目の前にある
暗闇の道を進む
どのくらい歩いただろうか
登っているのか
下っているのか
わからなくなっていた
はるか遠くに
街の灯りが見える
その瞬間ただ走った
街の灯りが近づくにつれ
寂しさや不安が
道の後ろに落ちてゆく
辺りの空気が
暖かくなってゆく
街に辿り着くと人影が見えた
その人に声をかけようとしたとき
目が覚めた
窓から朝の光がさしこんでいた
わたしがひとり歩いた山道は
昨日の昼に車で通った道だった