ぶれっしんぐ
幾年も快晴
空を切り裂かない朝が今日もきた
あなたの目の前に鐘がある、それを貴方は腕一つでならせる
それを貴方は鳴らさない選択もできる
いまこの場にいるのは貴方一人だ
この朝は靄に包まれ、先も何も未来も見えないここで
貴方は確かにその鐘をならせる、あなたはそこにいる
それを鳴らせるのは貴方一人だ
その鐘を鳴らすのは貴方の役目だ
ただそれがいつかは誰にも指定されていない
この鐘がいつ鳴るのか誰も知らない誰にも指定できない
さて鐘の役割はなんだったのか誰も思い出せない
高くから見やればパンの焼ける匂いも煙もなにもない街並み
鳴らしたところで聞く人はいるのかどうか
そういえばどうだったかいつもなら朝の讃美歌が
最後に聞いたのはいつだったのかどうなのか
もう誰も彼もが眠って怠けて土の下ではないのだろうかどうか
今更これを鳴らしたところで何になるのか
神様に聴いても鼓膜は揺れない
静寂がうるさいくらいの静けさが唯々心に語り掛ける
私は一体なにをしたいのか
答えはいつも早く速く疾く
私は答えが出ないまま
思い浮かぶのは早く速く疾く
あなたの目の前に鐘がある、それを貴方は腕一つでならせる
それを貴方は鳴らさない選択もできる
いまこの場にいるのは貴方一人だ
今日も空を切り裂かない朝で終わるのか