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スレッドNo.5250

見知らぬ友人  温泉郷

少しのんびりとしてきたときに
見る夢は 追い立てられる夢
決まって明け方に見る

忙しい時には
そんな夢は見ない
悩んでいる時にも
そんな夢は見ない

すこし余裕ができて
すこしゆとりができて
のんびりとして眠りについた夜に限って
明け方に追い立てられる夢を見る

夢は何を求めているのか
起きている時間を
忙しく 慌ただしく 緊張しろと
命じているのだろうか

昨日の夢は
あまりにひどかった
何かに抗議をして
わたしと見知らぬ友人とが
焼身しなければならない
というのだ

わたしはそんなことはしたくなかった
だいたい 熱いだろうし
そんなことをしても
きっと大した効果もないだろう
でも 見知らぬ友人の方は
やる気満々で
「これで歴史を変える」とか言っている

時間が迫ってくる
周囲の無責任な群衆が
友人とわたしに
灯油だかガソリンだかを掛ける
残酷な笑いの輪の中に
少女の悲し気な憐憫の顔

ああ これまでか
やけくそな覚悟を決めた
誰かが何の躊躇もなく火を放った

どういうわけか
わたしだけが燃え上がり
素早く皮膚が縮み
焦げていくのに
見知らぬ友人は平然と席を外そうとする

そうはいくか!
わたしはそいつに抱き着き
そいつも炎上した
そいつの表情は見えなかった
そいつの顔を見ようとして
のぞき込んでも
表情は見えなかった
そこで 目が覚めた

あの見知らぬ友人
あの美しい友人は
最後の最後に裏切ったのだが
あいつはやっぱり
自分だったのだろうな

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