三浦志郎様 評のお礼です。 荒木章太郎
本作「いの中の蛙」を、まるで心の井戸を照らすように深く読んで下さり感謝致します。佳作を頂きましたことはとても励みになりました。
私自身の心の井戸を掘り進めていると、その底には小さな子供の私に出会います。汲み取り式トイレで風呂無しの狭いアパートに、妹が生まれる前、父母と3人で暮らしていた頃の私でした。当時の父は体調不良で、まだ働けていなかったと思います。周りは田んぼに囲まれていて、カエルの合唱、屠殺所から聞こえる豚の鳴き声が聞こえます。空には月に照らされる羊雲、母に手を引かれて通う銭湯帰りの風景でした。私は何も知らず、周りで何が起きていたのかも理解できずに、自分達がどこか周りとは異質だったことも、不安すら感じていませんでした。自己探求が進み、父も亡くなり、ようやく、いろいろなことがわかってきました。「井の中の蛙大海を知らずだったのだ」とじんわりと乾いた心の井戸に水が沸いてきて生まれた詩でした。ありがとうございました。