筑波の春 小林大鬼
初雪の雛祭りの翌朝
通い慣れた道の途中で
雉達が足早に逃げてゆく
小さな梅園の花は白く咲き乱れ
遠くの紫峰はうっすら白く薄化粧する
私はその夜車を呼んで帰宅した
雪降る街の光を見ながら
顔馴染みの運転手は故郷の久慈より
遠き大船渡の山火事の話をしてくれた
筑波に雪は降りしきる
大船渡の火が雪と共に消える日を
願う人々を遠く思いながら
私は降り積もる雪を見つめていた
初雪の雛祭りの翌朝
通い慣れた道の途中で
雉達が足早に逃げてゆく
小さな梅園の花は白く咲き乱れ
遠くの紫峰はうっすら白く薄化粧する
私はその夜車を呼んで帰宅した
雪降る街の光を見ながら
顔馴染みの運転手は故郷の久慈より
遠き大船渡の山火事の話をしてくれた
筑波に雪は降りしきる
大船渡の火が雪と共に消える日を
願う人々を遠く思いながら
私は降り積もる雪を見つめていた