ヘビースモーク 喜太郎
あなたは私の中から選んだのは性欲
どうせ趣向品 隠れて吸う肩身の狭さ
あなたはたくさんある中の一本の性欲に火をつける
金色の金属音が鳴くオキニのZIPPO
メラメラと端に火をつけ吸い込み虚な眼差し
私の悶えがあなたの肺から血管へと
細胞の隅々までめぐる
百害あって一利なし 毒な私への性欲
思いやりも優しさも愛しさも選ばない
吐き出された真っ白な抜け殻は
ゆらゆらとあなたの顔の前を
名残惜しそうに踊るとただ消えて空に紛れてゆく
あなたの中に残るのは私の毒だけ
それが私の唯一の優しい仕返し
あなたは次に私の心の中の何に火をつけてくれる?
何を選ぶの?それともただの満たされた後の一服?
その一服も私の心のカケラなのに
微かだけど毒なのよ 積もり積もって黒く染めてゆく
オキニのZIPPOが鳴くたびに濡れてゆく
オキニのZIPPOが鳴くたびに黒くなるよ
あなたの服の臭いも 部屋の臭いも 口の臭いも
私の抜け殻がまとわりついてる証
誰も寄せ付けないためのマーキング
私の心の中から選んで火をつけるたびに
あなたの寿命は私のモノになる
私の心が先か あなたの命が先か 青空に紛れて消える日まで