私の神様 紫陽花
神様に一緒にいるよと声をかけられたような気がした
入院中の父の病院から呼び出しがあった
そんな帰り道
うるうるとした夕日が私を見てる
今週の予定だった父の退院は未定になった
いつもの坂道で
なんでもないいつもの段差につまづいた
擦りむいてしまった足から
夕焼け色の血が出ている
ああ神様どうして
こんな時ふと神様を思い出す
神様はいつも私の心の忘れ物入れの中に
住んでいる
いつも一緒にいるのに
私はいつも神様をほったらかして
こうやって思わず立ち止まってしまった時
憂愁の色をまとって神様は私の悲しみのそばに佇む
すぐそばに鈍色の視線を感じる
それは遠い昔の おばあちゃんも同じ
おばあちゃんが手首を骨折した時
術後の手首が酷く痛む晩
個室の病室で1人孤独と痛みを抱え
誰もいないはずの病室だったけれど
確かにあの日左手首に温かく少し重い気配が一晩中あった
あれは 神様だったよ
懐かしそうな目をしておばあちゃんは
私にこっそり教えてくれた
神様はいつも悲しくて優しい