各駅停車 喜太郎
春間近な青空の下
空を見上げて大きく息を吸い込む朝のホーム
やがて通過してしまう準急電車を待つ
そして僕は目を凝らして通過する車内を見つめる
片思いのあの人が乗っている準急電車
コンマ何秒の中 僕は毎朝見つけてた
その時だけ頭の中ではスローモーションとなり
見えた喜びと今日もクラスで会える喜びが
僕の一日を有意義にしてくれた
こんな日が片思いでもずっと続くと思っていた
やがてゆっくりと向かってくる各駅停車
あの人を追うかのようにホームに滑り込み止まる
だけどきっと追いつく事はない片思いの各駅停車
それでも同じ線路を走る嬉しさがあった
だけどずっと続かないと理解した時
もし告白したら追いつけるかもしれないなんて
ゆらぐ心の中に芽生えた告白の二文字
そして僕の大事な一日が始まる
あの日の春まだ浅い青空が
僕に小さな勇気をくれたのかな
限られた数年をもっと続けたい気持ち
告白の二文字は好きですの四文字へと変換し
音となりあの人の耳から心へと滑り込んだ
やがてあの人は準急電車から各駅停車の電車に
そしてクラスメイトから彼女に変わってくれた
ホームに桜が舞ってる
サクラサク